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高齢者との会話の糸口は?どんな話題が盛りあがる?
高齢化社会が進み、介護に従事する人が増え、高齢の方と接する機会が非常に多くなりつつあります。その中で、どのような話をすればいいのか、会話について悩む人は少なくありません。どのような話し方が良いのか、何の話題を提供すれば盛り上がるのか、気分を損ねないための注意点は何かなど仕事となれば特に気をつかいます。ご高齢者と上手に会話をするコツは、相手の興味を知り、傾聴力を磨くことです。無理に笑いを取ろうとする必要はありません。肩の力を抜いて会話をしてみましょう。
今回は高齢者との会話について悩んでいる人のため、円滑にコミュニケーションをとるためのヒントになる情報をご紹介します。
話し方、聞き方のポイント
高齢になると、高周波数の音域が聞き取りにくくなるほか、早口も聞き取りにくくなります。そのため、落ち着いた声でゆっくりはっきりと話すことを徹底しましょう。一気に情報が入ると、内容を整理できず理解できなくて不快感を与える場合もあります。ひとつひとつ確認しながら話すことがポイントです。相手の話を途中でさえぎることや、否定するのは良くありません。相手の話がひと段落つくまで、軽く前のめりになり、相づちを打ったり頷きながら話を聞くことで、興味を持っていることを伝えましょう。そして、ひととおり話し終えたところで、質問を投げかけるなどして会話を広げていくのが理想的です。
ご高齢者にウケる話・興味のある話題とは?
初めから無理に話題を出すことはありません。まずは世間話程度、たとえば今日の天気の話でもいいでしょうし、食べ物に関すること、季節、健康、ニュースの話も良いでしょう。相手の好きなものを把握しているのであれば、それに関する話題に触れるのもおすすめです。たとえば歌が好きな人、旅行が好きな人などいろいろですが、相手の趣味に合わせた話題は喜ばれます。そのほか、ゆっくり話す時間があるのであれば、相手の故郷のことや若い頃・小さい頃の話を聞いてみるのも良いでしょう。自分が休日に訪れた場所など、自分が最近経験したことを聞かせるのも、興味を持ってくれる可能性は十分にあります。また訪問した際にお部屋にご家族写真などがあればご家族のお話を聞いてみるのも良いでしょう。
ご高齢者との会話での注意点
ご高齢者との会話が盛り上がるネタがある一方で、質問してはいけない要注意ネタもあります。
ここからは、ご高齢者と話すときに触れないほうがよいネタについて紹介しましょう。よく会話する人との間で重要なのは、相手の背景をしっかり把握しておくことです。高齢者でなくとも、思い出したくないことや、話したり聞かれたりしたくないことはあります。そこに土足で踏み込むようなことはしない方が懸命です。たとえば、戦争に関する話題に触れたがらない人はたくさんいます。また、必ずしも家族と上手くいっているとは限らないため、子供や孫の話題を嫌う、避けたがる人も多いのは確かです。普段の何気ない会話の中で相手をよく観察して、周りとも共有するといいでしょう。高齢者にとって病気や死は身近な存在です。高齢者のなかには、自分が今後どのような病気を患うか、いつ死を迎えるかについて考えている人もいます。
そのため、自分とは直接関係のない有名人の話であっても他人事とは思えません。
病気や死に関する話題は避けるようにしましょう。高齢者が前に話した内容を覚えていることを前提とした、つまり前回の続きになるような話は、状況によって控えるほうがよいでしょう。またご高齢者の方が座っている場合、職員は立ったまま会話をするのではなくご高齢者に目線を合わせて上から圧がかからないように会話をしましょう。
沈黙に慣れることも大切
話し好きな人ばかりというわけではありません。
また、脳梗塞などの病気を患い、言葉がスムーズに出てこない場合や、認知症で相手に意思を伝えることが難しくなる人もいます。このような場合には、無理に会話をしようとするのではなく、沈黙がコミュニケーションにもなると捉えたほうが上手くいく場合があります。ただ相手の横に座って一緒に景色を眺める、ゆっくり散歩に出かけるなど、同じ時間を共有するだけで人間関係は深まるともいわれます。
沈黙が苦手で、無言になると何か喋らなければと焦ってしまう人もいるでしょう。
しかし、「沈黙を味方につけることもできる」という点は、頭に入れておいて損はありません。
シチュエーション別「声かけ」例
挨拶の声掛け
「○○さん、おはようございます」
「体調はお変わりないですか?」
「気持ちよく眠れましたか?」
「今日は良いお天気ですよ」
「今日も一日、よろしくお願いします」
「ゆっくりお休みくださいね」
「また明日もよろしくお願いします」
朝の挨拶は、その日一日の始まりとなる大切な声かけです。お互いに、気持ちよく一日をスタートできるように、相手の名前を呼んで、元気に挨拶をしましょう。就寝時や帰宅時の挨拶も同様です。「今日は一日楽しかったな」と思ってもらえるように、最後まで気を抜かずに笑顔で挨拶することが大切です。
食事の声掛け
「お腹は空いてきましたか?そろそろお食事の時間ですよ」
「どれが好きですか?」
「今日のメニューは○○ですよ」
「ゆっくり食べてくださいね」
「○○さんの得意料理は何ですか?」
「少し食べにくかったですか?」
食事の摂取量が減ってしまわないように、「食事の時間が楽しみ!」と利用者様に思っていただきたいですよね。メニューの説明から会話を広げたり、認知症等の方には特に、何を食べているのかしっかり伝えるようにしましょう。食事の形状に問題がないか等も、目で確認しながら声をかけてみると、より利用者様に安心して食事を楽しんでもらうことができます。
排泄の声掛け
「お手洗いが空いてますので、良かったらどうですか?」
「お手洗いを済ませてから、お部屋でゆっくりしましょう」
「ちょっとチェックしますね」
「下着を交換しましょうね」
「ズボンを下ろしますね」
「寒くありませんか?」
排泄介助の時の声かけは、利用者様の自尊心を傷つけないような工夫が必要です。ニオイや汚れのことには触れないようにしましょう。「恥ずかしい思いをした」と感じさせてしまうと、排泄を我慢して便秘になってしまうこともあるので、注意が必要です。
入浴の声掛け
「○○さん、お風呂の時間ですよ」
「今日はちょっと冷えるので、少し温まっていきませんか?」
「シャワーをかけますね」
「お湯の温度は熱くないですか?」
「腰を支えているので、安心してくださいね」
「ゆっくり立ち上がりましょう」
利用者様の入浴拒否に苦労しているという介護職員の方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような場合には、「お風呂」や「入浴」という言葉は使わずに、「少し温まっていきませんか?」や「今日は沢山お散歩したので、ちょっとさっぱりしませんか?」と言って誘い出したり、「○○に効果があるお湯が入ったみたいですよ」と声をかけてみて下さい。また入浴時には、「今日も安心してお風呂に入れた」と思っていただけるような声かけを意識しましょう。皆さんの前で言いづらい事などを話してくださる場合もあるので話を聞いてさしあげましょう。
レクリエーションの「声かけ」
「前回もみなさんで盛り上がった、○○をやりますよ」
「○○さんも一緒にどうですか?」
「○○をしたいのですが、人数が足りなくて、、、助けてくれませんか?」
「○○さん、良いですね」
「○○さんが楽しそうで、私も元気になれました」
興味が沸くような声かけがレクリエーションの導入でとても大切です。また内容の説明をする時は、イメージをしやすい表現や動作を使うように心がけると伝わりやすいです。誘い上手・ほめ上手になって、利用者様と一緒に楽しみましょう。
まとめ
高齢者だからといって、特別なことはありません。
相手の話をよく聞くこと、想像力を働かせること、根掘り葉掘り聞かないことなどは、話し相手が自分の友人だったとしても心がけるべき点ではないでしょうか。高齢者ならではの注意点はありますが、ハードルを上げ過ぎず、気軽な気持ちで会話を楽しみましょう。
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