将来的にも需要が見込まれる介護業界。
介護職員は、これから転職や就職を考える方にとって、気になる職業のひとつではないでしょうか。
しかし、実際のところ、給与が気になっている方も多いと思います。介護に関する人手不足が深刻化しつつある中、介護士の平均年収は低いと言われています。
「介護職員の賃上げが行われるって聞いたけれど、本当?」
「介護職員の給与って、安いんじゃないの?実際どれくらいもらえる?」
「どうすれば年収は上がるの?」
このような疑問を解消するため、この記事では、介護職員の給与について解説します。
Contents
介護職員の処遇とは?
介護職員の人材確保や定着を図るため、国をあげて、介護職員の処遇改善のための取り組みが行われています。厚生労働省は、平成24年に『介護職員処遇改善加算』を創設し介護職員のキャリアパスの整備や職場環境の改善を図り、令和元年には新たに『介護職員等特定処遇改善加算』を創設し、経験や技能のある介護職員へのさらなる処遇改善を図ってきました。
これらの効果もあり、介護職員の処遇は年々改善されています。では、詳しく説明していきますね。
介護職員処遇改善加算とは?
介護職員処遇改善加算とは、利用者に直接介護サービスを提供する職員(介護職員)の安定的な処遇改善を図るための環境整備と賃金改善を目的に創設された加算です。わかりやすく、ざっくり説明すると、介護職のためにキャリアアップの仕組みを作ったり、職場環境の改善を行った事業所に対して、介護職の賃金を上げるためのお金を支給するという内容の制度です。
この制度が作られた背景には、高齢化が進む日本での深刻な介護職不足があります。厚生労働省によると、2025年度には約38万人の介護職が不足する見込みで、国は対策を打つ必要がありました。介護職不足を解決するためには、介護職を目指す人を増やすだけではなく、今働いている人の定着率を上げる必要がある。そう考えた国は、介護職の給料アップ+やりがいの持てる職場づくりを促進するための制度を作ったのです。
介護職員処遇改善加算の流れ
- 介護事業所が、介護職員のキャリアアップの仕組みや、職場環境の改善の計画をたてる
- それらの計画を、都道府県や市町村などの自治体に報告
- その報告をもとに、自治体が介護報酬に『給料の上乗せ費用』を追加して支給
- 支給されたお金を介護職員へ給料として支給
このように、自治体から「この事業所は、介護職員のためになる取り組みをがんばっているね!」と認められた介護事業所にだけ、給料上乗せ費用が支給される制度なのです。
ちなみに、「介護職員処遇改善加算」で介護事業所が取得したお金は介護職員に賃金として還元する事が義務付けられています。還元の方法としては、介護職員の給料をベースアップしたり、「処遇改善手当」として支給するなど、介護事業所によって様々です。ただ、介護事業所は自治体に対して「実績報告書」を提出しなければならず、不正はできないのでご安心ください。
介護職員処遇改善加算の取得率は?
実際にどれくらいの介護事業所が、この制度を受けているのでしょうか?厚生労働省の調査では、全国の介護事業所のうち、9割以上が取得しているという結果となっています。つまり、全国で介護職員として働いている多くの方が、この制度の恩恵を受けているのです。
介護職員処遇改善加算の対象の職員は?
支給の対象職員は「現場で実際に介護業務を行っている人」とされ、非常勤・常勤といった雇用形態や、資格の有無などは関係ありません。つまり、パートアルバイトや派遣の方も対象となります。
また、看護師、調理師、事務員などは介護職員以外の職種になるため、対象外となります。
介護事業所が「介護職員処遇改善加算」を取得するためには、次の4つの改善項目に対する取り組みが必要となります。
- 【キャリアパス要件】役職や職務内容に応じた賃金体系の整備
- 【キャリアパス要件】スキルアップのための研修や資格取得支援の実施
- 【キャリアパス要件】経験や資格に応じた昇給制度の整備
- 【職場環境等要件】賃金以外の職場改善に対する取り組み
介護事業所の取り組みによって差があり、介護職がもらえる処遇改善手当がどれくらいかも職場次第ということです。
介護職員等特定処遇改善加算とは?
介護職員等特定処遇改善加算とは、『経験・技能のある介護職員』に重点化して、これまでの介護職員処遇改善加算に加え、更なる処遇改善を行うための加算として、令和元年10月の介護報酬改定により創設されました。
全産業を対象とした賃金調査において、介護職員の賃金が全産業の平均と比較して『低い』という調査結果から、介護現場でリーダーとしての役割を担う介護職員の賃金を全産業の平均年収440万円へ引き上げ、介護職員の確保・職場定着に繋げるために実施されています。
介護職員等特定処遇改善加算は、これまでの処遇改善に上乗せされて事業所に支給されます。
新加算を取得するためには、事業所は下記の条件を満たす必要があります。
- 現行の介護職員処遇改善加算の加算区分I~IIIを取得している
- 職場環境等要件に関して、複数の取り組みを行っている
- 処遇改善加算に基づく取り組みについて、ホームページへの掲載などをしている
この3つの条件を満たし、かつ「サービス提供体制強化加算」「特定事業所加算」「日常生活継続支援加算」「入居継続支援加算」などの取得状況に応じて支給額が決まります。
介護職員等特定処遇改善加算でお金を支給された事業所は、勤続10年以上の介護福祉士に対し、「月給8万円アップか、年収440万円以上」を1人以上は確保する必要があります。
ただし、10年の考え方は事業所に任されていること、介護職以外の職員への配分も柔軟に設定が可能なことから、事業所によって処遇改善手当の額には違いがあるようです。
よく間違われる「介護職員処遇改善加算」との違いについてですが、「介護職員処遇改善加算」は条件をクリアしていればその介護職員が対象となります。一方で、特定処遇改善加算は介護職員の中でも技能と経験を持つ人のみを対象としているのです。勤続10年以上であるすべての介護福祉士の待遇が上がるわけではないですし、加算額も均等ではありません。あくまでも賃金アップの「目安」です。たとえ勤続年数が長かったとしても、処遇改善に見合った技能がないと判断されれば、対象外となることも考えられます。
特定処遇改善加算の取得率は?
事業所の取得率は、57%と6割に満たないことも明らかとなりました。その要因には、算定要件の多さと複雑さ、事務処理にかかる負担が大きいことがあると指摘されています。特定処遇改善加算の取得率が低い要因には算定要件の多さと複雑さがあると指摘されています。
なぜ、特定処遇改善加算の取得率は低いのでしょうか?
特定処遇改善加算の取得率が低い大きな要因として、「賃金バランス」が挙げられます。ここでの「賃金バランス」とは、加算配分の難しさを感じている事業所があるということ。例えば、介護福祉士とケアマネジャーの給与逆転がそれにあたります。
厚生労働省によれば、ケアマネジャーと介護福祉士の平均給料は平均約5万円の差があり、ケアマネジャーの方が高くなっています。ケアマネジャーは介護福祉士がキャリアアップのために目指す資格のひとつとも言われている資格です。ところが、この加算はケアマネジャーが受け取ることができませんでした。つまり、特定処遇改善加算によって介護福祉士の給料が満額である月8万円アップすると、ケアマネジャーより介護福祉士の給料が高くなってしまいます。
また、「経験豊富な介護福祉士」を決めるのは事業所側です。ある程度「経験豊富な介護福祉士」の基準は定められていますが、第二、第三の優先順位については曖昧なまま。同じ業務をしているのに、給与が違う場合が出てくるかもしれません。これは、職員のモチベーションを下げる結果にもつながる可能性があります。
事業所は、このような賃金バランスが崩れてしまうことについて、悩んでいるというわけです。
特定処遇改善加算の取得率向上のための対策として、厚生労働省は介護業務を兼務しているケアマネジャーや看護師も含めるという条件の緩和を行いました。これにより、対象外であったケアマネジャーでも賃金アップの恩恵を受けられるようになり、賃金バランスが取りやすくなります。また、制度利用のための負担を減らすため、事務負担削減の具体策として計画書の一本化を決定。原本や押印が必要な文書の数を絞って簡素化しています。今後も、類似書類の一本化や更新申請日を集約して一度で済むように調整を進め、書類にかかる事務負担の軽減も検討されています。
介護の資格取得で給与はどのくらい変わる?
介護職員処遇改善加算や、特定処遇改善加算を取得している事業所に勤める以外に、介護職として給料をあげるには、資格取得が近道です。
介護福祉士の資格を持っている常勤職員と、資格なしの常勤職員とでは、年収にして64万円の差がありました。一気に介護福祉士の資格とまでいかなくても、初任者研修や実務者研修の資格を取得することで、給料アップが見込めます。資格を持っていると手当が付くのでキャリアアップを目指している方は資格取得する事が給与アップに繋がります。
今後給与は上がるの?
介護業界は現在深刻な人手不足となっています。介護職に対する過酷な現場の仕事に対して、それに見合った給与がないと見られている傾向があるためです。
また、同業他社による人材確保の競争も激しいため、事業所の90%が採用が困難であると回答しています。
そのために、介護職に対して人材流入できるように、政府も様々な施策を実施しているところです。その例として、復職支援であったり介護報酬の改定なども行っています。まだまだそうした施策に対しての魅力が足りない点もありますが、介護に対する重要性と、今後ますます需要が高まる点を考慮すると、介護職に対する待遇が改めて見直しが検討されていく可能性も高いと考えられます。介護職員の賃金は介護職員処遇改善加算の拡充・介護職員等特定処遇改善加算の創設などによって、上昇傾向にあります。
介護に復職したら最大40万円!介護職の再就職準備金とは?
介護現場経験のある有資格者が、介護の現場に再就職するために必要な資金を無利子で貸与するのが、介護職員の『再就職準備金』です。
もともとは介護職員として勤務していたものの、現在、介護の仕事から離れている方を対象にした制度です。
再就職のために必要な転居費用(敷金・礼金など)、保育園など子供の預け先を探すための活動費、学びなおしのための講習参加費用や参考図書の購入費、業務に必要な被服費、通勤用のバイクや自転車などの購入費用など、様々な用途にこの再就職準備金を充てることができます。
この『再就職準備金』は基本的には「貸付」という名目ですが、介護の仕事に就職後、2年間継続して介護職員として従事すれば全額返還不要となります(都道府県によって、年間の勤務日数に制限があるなど、詳細な条件は異なります)。
つまり条件を満たせば、返済の必要な貸与ではなく、返済不要の全額給付という形になる制度です。
都道府県の社会福祉協議会が実施主体となって事業が行われています。
準備金として貸し付けされる金額ですが、基本は20万円となっています。
ただし、一部の都道府県では40万円が準備金として貸し付けされます。これは、特に介護職員の人材確保が難しい地域(14都府県:首都圏・関西圏・東日本大震災の被災地域)に限定して、本来20万円の2倍の「40万円」が貸し付けされることになっていました。
しかし、2020年、新型コロナウイルスの影響拡大により介護の人材確保が必要になったことから、就職準備金が全国一律で40万円に引き上げられることになったのです。
まとめ
今後介護業界は給与アップが見込めます。定年制を設けない事業所も多くあり健康であれば働く事が出来る介護職。将来安定職となりますので、介護のお仕事に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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