誰もが、人生最期の瞬間は訪れます。最期をどのように過ごしたいかは、人それぞれ。本人が望む最期についてご家族と話しておくとよいでしょう。
ターミナルケアとは？
ターミナルケアは、その名のとおり「終末期（ターミナル）」の「医療・看護および介護（ケア）」です。老衰や病気、障害などの理由により終末期を迎えた方が、少しでも穏やかに過ごせるように、身体的のみならず、精神的にも負担のないケアが行われます。すべての苦痛を緩和することが第一目的なので、痛みをともなう治療や延命措置は基本的に行いません。
ターミナルケアを始める時期は？
ターミナルケアを行うかどうかは患者本人や家族の意思に任されています。しかし、ターミナルケアを始めるという事は『延命を諦める』こととほぼイコールとなるため、開始の決断はとてもデリケートな問題です。癌などの病気の場合には、病状から予測される余命や、治療の効果が期待できるかどうかなどを考慮して、タイミングを決断することになります。認知症や老衰の場合は寝たきりになって介助があっても食事ができなくなった時が、一般的にターミナルケアの開始時期と考えられています。本人の意思で開始を決断できるのが理想ですが。特に認知症の場合、意思確認が難しくなっていることもありその場合は、家族が判断します。
ターミナルケアの大きく分けて3つ
ターミナルケアは大きくわけて『身体面の対するケア』『精神面に対するケア』『社会面に対するケア』の3つに分けれれます。詳しく解説していきます。
【身体面に対するケア】
投薬などで痛みなどの症状を緩和するケアが身体的なターミナルケアです。終末期には痛み、全身の倦怠感、食欲不振、呼吸難、不眠といった症状があらわれます。このような状況が続くことで「床ずれ」にならないためのケアも行われます。
【精神面に対するケア】
患者様の不安や恐怖、ストレスなどを取り除き、心穏やかに過ごすためのケアです。患者様の気持ちに寄り添い、話しを聞き、家族や友人と過ごす時間うあ趣味を楽しむ時間などを設けたりします。好きな音楽を流したり、大切にしている物、思い出の品など身近に置いたりして、本人にとって満足度の高い空間を作ることが必要です。
【社会面に対するケア】
ターミナルケアが長期間続くと、経済的負担となってきます。金銭のことで本人や家族が思い詰めてしまうことがないように医療ソーシャルワーカーなどが手助けをします。社会福祉制度を利用する際の手続きのサポート、情報提供など社会面をサポートします。また医療費を抑えるためには、入院から在宅介護に切り替えるのもひとつの方法です。
その他のケア
ターミナルケア以外にも終末期を迎えた患者さんをケアするシステムがあります。違いや特徴を解説していきます。
【緩和ケア】
末期がんや不治の病を患っている人に対して、投薬などで痛みを取り除くケアです。余命にかかわらず、積極的な治療を並行して行います。
【看取りケア】
延命治療は施さず、最期まで人間の尊重を保てるように身の回りのお世話や声掛けなどを行います。主に、介護施設や在宅で行われることが多いケアです。
【ホスピスケア】
末期がんなどで余命わずかとなった方が過ごす施設『ホスピス』で行われるケアです。ホスピスケアは治療及び延命を目的とした治療はほとんど行われません。患者様の痛みやストレスなどをできるだけ取り除きながら最期の時を心穏やかに過ごすお手伝いをします。
ターミナルケアはどこで受ける？
ターミナルケアは『医療施設』『介護施設』『自宅』で行うことができます。それぞれの特徴を解説していきます。
【医療施設】
病院やホスピスなどでターミナルケアを受ける場合は急変時でも医者や看護師などがそばにいるので安心です。家族にかかる肉体的負担も少ないというのがメリットです。デメリットとしては、費用がかかることや急変したときに家族が看取ることができないことなどです。
【介護施設】
老人ホームなど介護施設でターミナルケアが行われる場合、それは、ほぼ看取り介護となります。介護スタッフや施設の医師・看護師が24時間体制でケアを行います。家族の負担が少ないのがメリットですが、医療機関でのケアと同様、費用の問題やすぐに駆け付けられない可能性などがあります。
【在宅】
在宅での残された時間を慣れ親しんだ自宅で迎えられること、家族と一緒に過ごす時間が増えることは本人にとって最良のことでしょう。必要に応じて、医師や看護師の訪問医療を受けながら過ごします。費用は抑えられる反面、急変するか、わからないということもあり、肉体的・精神的に家族の負担は大きなものとなります。
まとめ
終末期を迎えようとしている家族が身近にいた場合、家族として何ができるでしょうか？残された時間を充実したものにする。というのがターミナルケアの目的です。ターミナルケアは誰にでも起こりうる問題です。人生の残りの時間を本人が望む形で心穏やかに過ごせるよう、早い段階から話し合っておくことが大切です。
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