年間を通して発生する食中毒ですが、気温の上昇と共に、そのリスクは高まります。調理支援を担当している人はもちろん、それ以外の人も利用者様の生活を支える一員として、食中毒に関する知識、そして予防法を押さえておきましょう。
手洗いの徹底
手は、きれいに見えても汚れています。
きちんと手を洗わないと、手についた細菌やウイルスが食べ物に付着して「食中毒」を起こすことがあります。
特に、ノロウイルスは、アルコールによる消毒の効果はあまり期待できないので、石けんを使ってよく手を洗い、ウイルスを手から物理的に落とすことが重要です。手洗いは、食中毒予防の第一歩。正しい手洗い方法を身につけて、食中毒を防ぎましょう。
- 調理を始める前
- 生の肉や魚、卵を扱う前後
- 調理の途中でトイレに行ったり鼻をかんだりした時
- おむつを交換した時
- 動物に触れた時
- 食卓に着く前
- 残った食品を扱う時など
食中毒は食品の腐敗ではなく、食品に付着している細菌やウィルスが体内に侵入するっことによって発症する病です。そのため、食品の見た目やにおいに変化がなくても起きるのです。
食中毒予防の3原則&6つのポイント
食中毒予防の3原則:食中毒菌を【付けない・増やさない・やっつける】
家庭でできる食中毒予防の6つのポイント
- 食品の購入
- 家庭での保存
- 下準備
- 調理
- 食事
- 残った食品
※厚生労働省が提示している食中毒予防の基本です。一度は目を通しておきましょう。
ホームヘルパー目線でさらにポイントを確認しましょう
はじめに台所のあり方も食事にかける時間も利用者様によって様々。一人ひとりの状況に合わせて『どうしたらいいか』『どうしたら改善できるか』考えることを大切にしましょう。
また、『古い冷蔵庫で冷えが悪い』『市販の寿司を3日かけて食べている』『要冷蔵・常温の区別ができない』など明らかに食中毒が心配な場合はすぐにサービス提供責任者に相談して改善策を考えましょう。
では、『食中毒予防の6つのポイント』を詳しく解説していきます。
point① 食品の購入
食品についた細菌の多くは温度が上がると活性して増殖します。買い物の順番をできるだけ、肉や魚介類は最後にします。そうする事により買い物中の温度上昇による菌の増殖を防ぐことができます。
夏場は、自転車のカゴや車内の温度に注意が必要です。生鮮食品をせっかく最後の購入しても、車内シートが高温になっていればそこに食品を置けば一気に温度が上昇してしまいます。保冷剤や保冷バックを活用し温度を上げない工夫をしましょう。
point② 家庭での保存
消費期限・賞味期限切れの食品や、食べ忘れた常備菜は、細菌などが増殖している可能性が高いです。自分が購入してきた食品だけでなく、冷蔵庫内の中身を把握し消費期限が近いものは手前に置いたり、古い常備菜は利用者に声をかけて処分したりしましょう。
肉や魚介だけでなく、野菜についた土にも様々な細菌やウィルスが付着しています。野菜は調理前にしっかり洗いましょう。
冷蔵庫の豆知識
- 野菜室:約3~8℃に設定されている事が多く野菜や果実がみずみずしい状態のまま保存できます
- チルド室:約0~2℃に設定にされている事が多く食品を凍る寸前の状態で保存できます
- パーシャル室:約-3℃に設定されている事が多く食品を半解凍・微凍結状態で保存できます
point③④ 下準備・処理
食中毒予防を意識した下準備&調理が大事ですが、利用者宅では『調理スペースが狭い』『道具がない』といった問題もあるはずです。その場でできる最善策を考え工夫してきましょう。
豆知識
加熱時には、鍋やフライパンに蓋をし調理すれば中までしっかり火が通るうえ、水分の蒸発が抑えられ、肉や魚介が柔らかく仕上がります。蓋がない場合はアルミホイルを代用しましょう。電子レンジは調理の強い味方ですが加熱ムラが起きやすいです。調理の途中で一旦取り出し、かき混ぜることが重要です。全体をムラなく加熱できます。
point⑤ 食事
食事に時間がかかる場合は、温度の変化に気を配って対応しましょう。様々な理由で食事に時間がかかるご利用者様もいるでしょう。そうしたケースでは一度にたくさんの量は出さず、2~3回に分けて提供するなど、短時間で食べ切れる量に分ける工夫が必要です。
手についた細菌やウィルスも食中毒の原因になります。自分で洗うのが難しい利用者にはウェットティッシュで拭いたり、除菌スプレーをかけたりして、清潔にしましょう。
point⑥ 残った食品
煮物は一度、加熱しているから大丈夫!と思っていませんか?実は煮物から食中毒が発生することもあります。その原因となるのが『ウェルシュ菌』空気を嫌う細菌で、粘性の高い煮物やカレーなどの煮込み料理を鍋で作ると、鍋底で増殖します。100℃の加熱に耐え、死滅しないこともあります。調理中はよくかき混ぜ、鍋底にも空気を送りましょう。
さらに温め直す際も十分に加熱し、増殖している菌を殺菌して下さい。また作り置きにも注意が必要です。自分でしっかり温め直せるのか、適切な日数で食べ切る事ができるのか。食中毒のリスクを念頭にサービス提供責任者と相談しご利用者様の希望も聞きながら調理支援のあり方を再検討して下さい。
食中毒に関するの疑問
ラップや保存容器の蓋はいつするのか? | 残った食品や作り置きの場合、料理を保存することになります。ゴミが入るから早く蓋をするべき?と思いがちですが必ず冷めてからにして下さい。温かいうちにラップで包んだり、蓋をしたりすると、中に蒸気がこもって冷めにくくなります。温度と湿度が高い環境で菌は増殖します。 |
口を付けたペットボトル飲料はいつまで飲んでも大丈夫? | 飲料の成分、保管状況によっても異なりますが、少なくとも当日中には必ず飲み切って下さい。一度口を付けると口腔内の細菌がベットボトル内に入って増殖していきます。保管する場合には冷蔵庫に必ず入れましょう。
糖分が入った飲料水は傷みやすいため、出来るだけ早く飲み切ると安心です。 |
かなり賞味期限の過ぎた食品が冷蔵庫にありますが、処分させてもらえません。もったいない、捨てたくないと言われてしまう。 | 物を大切にするお気持ちはわかることをお話し、ご利用者様の体調を気遣っていることを伝えましょう。また賞味期限切れの食品を食べ、吐き気があったことや入院した友人がいたなどの、話しをしてみましょう。 |
まとめ
日常生活の楽しみでもある『食事』。高齢者の方は免疫機能が低下しているため食中毒になると重症化しやすくなり、死に至るケースもあります。予防をしっかり行っていきましょう。
静岡介護求人ナビの母体となる有限会社まはえの横山源太社長は、ほめ達の認定講師です。YouTubeで発信しているので是非下さい!
※「ほめ達!」は、目の前の人やモノ、仕事で言えば商品やサービス、出来事などに独自の切り口で価値を見つけ出す『価値発見の達人』のことです。
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